おつかれさまとありがとう / RING閉店へ寄せて

先日のこと

 

EBISU店の営業は今日までがフリーでの営業、明日は予約のみとなります。

昨日、そして今日の朝と明日の予約を頂いて嬉しい。

都内の年末はきっと暇だろうと思っていたから最後に来て下さるってのは嬉しいこと。

通販の方へ向けて本当であれば今日なんて日は最後の商品紹介だったり、なにか売りの文句でも書けばいいのかなって思ったんだけど、僕にとってはもっと大切なことがあって今日はそれを書いておこうと思う。なにしろ、「明日」という残り時間までは揺るぎようもなく決まっているから。

 

 

2週間ほど前。

店の人間同士、また一応僕はデザイナーでもあるのでデザイナーと取引先という間柄の最後の挨拶も兼ねて長野市のRINGさまへ行ってきた。

___ 長野県 長野市 RING

 

12月の週末の日曜日。

洋服屋のくせにこの師走の需要のある日曜日だったけど、それよりも大切なことだったから店は閉めて行った。

 

オーナーの岩間さんとはどうにも縁深き付き合いで、実のところもう少しで20年近くになる。

今更ながら書けば、元々彼は僕が田舎でセレクトショップをやっていた時代のお客さん。

僕の少し目上(ちょうど自分の兄と同じ年齢だ)だけれど、最初から驚くほど腰が低くとにかく真摯で紳士だ。

 

「実は僕も洋服屋をやりたいと思っていて」

 

出逢ってしばらく経ったあと彼が言った。

別になにかを教えることなんて出来なかった(そういう質の人間ではない)けど、僕の店を閉めたあと時々2人で僕の知り合いの店へ行きそんな話をしながら食事をしたのを良く憶えてる。

彼が居た(そしてその場所で店を開いた)場所から僕の当時の店までは同じ県内だけれどすごく遠くて、さらに開店の為の節約もあっていつも高速道路を使わずに下道で来てくれた彼はきっと2時間とかいつも運転してきたのだろうと思う。(そのくらい長野県ってのは縦に長いのだ)

開店の為の資金を貯めるため早朝から夜まで働いていることを知っていた。

彼がどこまでも真面目で実直で嘘のない人間だと知っていた。

 

 

 

2005年

店を開けた。

ちょうど、僕が自分のブランド( thee old circus )を立ち上げた年。

 

別にお互いにそれを相談して決めた訳ではなかったけど、それは偶然に重なった。

ふたりともで、新しい分岐点を歩き始めたのが偶然一緒だっただけのこと。

 

彼の地元は店を開けた場所ではなかったから、ある意味で彼はなにも後ろ盾もない場所で一人の戦いを始めたのだと思う。

僕は僕で地元を離れて東京へやってきた。

同じくなにもなかった。

 

ほぼ15年という時間が経ったのだと改めてこの日思ったこと。

なんにもなかった僕らが偶然にも、そしてそれはありがたいことにも続けてこれた道のりだった。

いろんなことがあった。

もちろん、楽だった記憶はお互いに一度もないかな。(笑)

 

お互いに独身だった時から、結婚し(彼の式にも呼んでもらったし彼を僕の式にも呼んだ)彼にはお子さんも生まれ。

 

 

 

一緒に行った連中。

実はみんな東京に居る連中で、時々今は僕の店にも来てくれるけどみんな最初は岩間さんのこの店で僕のことを知ってくれた。

彼らとの付き合いも全員あれこれと10年以上。

初めて逢った当初は全員がまだ独身だったのが、次第に家族が増えていった。

この中では俺が最年長だからみんな俺の弟や妹でこどもたちは甥と姪。

だから家族。

最後の時はこの連中を連れてみんなで行きたかったんだ。

岩間さんが居てくれたから僕はこいつらに出逢えた。

 

 

岩間さんと話していた時にポロッと言ったこと。

 

「彼らやみんながこんな僕と店を支えてくれた。そのおかげでなんとか続けれたし結婚も出来た。そのおかげで本当に大切な宝物が出来た。本当にありがたいことですよ。」

 

宝物とはもちろん自身の子どもたちのこと。

そういう人だ。

 

彼は次の歩みを始める。

その為に店を閉じる。

彼が店を始めた時と同様に、僕に出来ることなんてなにもないけど、心から応援してる。

エールを送ることしか出来ないけど。

 

 

おつかれさま、そしてありがとう。

 

一緒に働けた時間へ感謝を。

 

 

 

 

長野という場所は寒いけど、その分空気は澄んでいてヒカリはとても美しい。

RINGという場所、店、岩間さんという人を通じて知り合えた人は多い。

遠方のお客様も多い。

僕は彼に感謝しかない。

余談だけれど、上の写真の中にいる連中を岩間さんが僕に引き合わせてくれて、その中の奴の同級生が僕のカミさんでもある。

だからそういう意味でも最初の繋がりの始まりをくれた岩間さんには生涯頭が上がらない。

 

点と点

 

それらが繋がった先が輪になれば。

 

だから彼は RING と名付けた。

 

彼は輪っかの中心というのではなく、自身も輪の線の一つだった。

輪そのものだったと思う。

そして「縁」は「円」に。

だからこそ多くの方に愛されたのだと思う。

彼の真摯さや真面目さや実直なのに暖かいから。

 

明日、30日が最後の営業だと言う。

もし、万が一お時間あればぜひ顔出してみて下さい。

 

しばらくしたら。

落ち着いたらまたゆっくりとメシでもって。

そんなことを想いながら。

 

「また、逢いましょう」

 

 

 

最後にこっそり自分だけで記念撮影

 

 

Thank you Ring / Thank you brother.

 

 

Urano Takahiro ウラノ タカヒロ
Urano Takahiro ウラノ タカヒロAuthor

Garage EDEN shop Editor.