1番 一般的で代表的なカットソーの組織(=テキスタイル)
あ、、、
これはこれで別途辞書に加えたほうがいいのかな?
っていうのは「素材」と「組織」、「製品」の違い。
・・・
って思ったのでこれはこれですぐに書けそうなので別途記載します。
— 「素材」と「生地」と「製品」の違いの話 / Dictionary(意外と苦戦しました・・・)
ってことで上のリンク記事を書いたあとですので元々説明したかった今日の話を書きます。
これらは全て同一組織である「天竺」という生地です。
素材自体は焦げ茶以外はコットン100%で焦げ茶だけコットン×リヨセルの混紡糸。
天竺 = stitches
英語表記だとそういうらしいけど、あまり目にしたことがない。(別の訳だとJersey stitchとか。元々インドから輸入されたことから 天竺=India ってことらしい。ふむふむ。
一般的なTシャツはほぼほぼ100%に近いほどこの天竺という組織だと思ってもらって良いと思います。それくらいカットソーの素材の中ではメジャー級で代表格の組織素材生地だと言えます。
最近はあまり見かけないけど 天竺は別名で「メリヤス(目利安)」とも呼ばれていて昔気質の生地屋さんはメリヤスと良く呼んでいたし、生地を編む工場や工房をメリヤス屋なんて表現していたりもします。
天竺は平編みの生地(カットソーに使われる生地は「ニット」ですので「編み」で、布生地とされる「布帛生地」は「織り」)で1番の特徴は
「横伸びがする」=「横方向へ伸縮性の高い」
です。
カットソーというのはTシャツやタンクトップなどもアンダーウェア的な要素も持っています。前開き(ボタンであったりファスナーとか)のないいわゆる被りのタイプのウェアでも着用がしやすいようにポリウレタン等の伸縮素材が混じっていないコットン100%の素材であってもこの編地組織によってこの横方向への伸縮性を生み出します。
※ なぜ天竺だと横伸びするの?っていう話はあまりにも専門的過ぎるので割愛します(興味のある方は天竺って〜って検索すれば色々と出てくると思います)
ひとえに天竺〜っと言ってもこれはまさしく無限大なほどにバリエーションがあります。
大きな部分であと1点は「単糸」と「双糸」の違い
上が単糸で下が双糸の糸です。
アップにしないと分からないかな?
単糸のアップ
文字通り単一(=1本)の糸で出来ている生地で1本の糸をあみあみしていって生地となる。1本の糸って簡単に言うけど、このコンマ数ミリという糸の細いものがず〜っと編まれていって1mとか10mとか100mとかの生地になっていくと想像するとすごい道のりのようにも感じる。
双糸のアップ
※ 撮影した双糸の糸は糸番手が小さい(=太い)ので単糸の糸より1本自体が太いです
こちらは双糸のアップで、1本づつのそれぞれの糸が「2本撚り(より)合わさった1本の糸」として編地となるもの。
単純に単糸の倍量の糸がベースとなるので単糸との違いは当然しっかりとした強度の強い厚みとなる。
ここで注意
大抵は今のような単糸と双糸の説明になったり(ググっても大抵はそんな感じかな)しますが、これで単純に「強度がある」と僕は言いたくない。
理由はね、編地の強度が増すということはそれは面に対しての強度であるし度詰め(すごく目を詰めてしっかりぎゅぎゅっと編む)や甘編み(文字通りやや緩めに編む=ちょっとセーター風味)と言って編地を構成する編み方によってもそれは大きく変動するし、ギュッと編めばもちろんその面としての強度は上がるがその分伸縮性は当然減るので、オーバーサイズの服であればもちろんそれで全体の強度に影響はないが、出来上がりがスペシャルタイトなサイズスペックの場合は着用時に横伸びがないと伸縮性が無いために縫い目の破損(生地は丈夫でもそれに対しての縫い目の強度が耐えられないとか)などもあり得るから。
つまりつまりは大切なのは完成をイメージして、その完成後の着用感なども考慮してそれぞれのデザイナーは最適な生地を見つけ出すこと。
いつか書くか分からないけど、革においても(いや、ちゃんと書いた方が良いな)良く「馬革は牛革に比べて硬い」なんてことを言う人もいるけど、これもある意味では正解だし完全な間違いだし。とか。原皮段階(革へとなっていく元の皮の段階)では確かにその傾向があるが、原皮の若さ(年齢)や革への工程に寄っての仕上がりでそれはいかようにも変化をするしそれが技術である。
ふむふむ。
いい勉強になるね。(笑)
んで、上に書いたとおり「一般的なTシャツはほぼほぼ100%に近いほどこの天竺という組織」って言うくらいだからそれはそれはいっぱいっぱい種類があります。
コットン100%からコットン×リヨセル、ポリエステル混じりやポリ100%、言い出したら素材だけでキリもない。30番手の単糸での天竺・・・60番手のリヨセルとコットンの双糸・・・などなどや
変形もので20番手と30番手の双糸(こういうことをすると生地の表面が均一にならずにうまくいけば良い意味での凸凹の表情感のある生地が生まれたり)であったり、今日は天竺の説明だったけど別の編地組織等々も当然ありますしね。
基本的な天竺という組織のざっくり説明はこんな感じでうちの店としての深掘りは今後の辞書に加えるなら生地の厚みや重みとかあれこれかな。
最後に。
途中でも書きましたが僕は自分でデザインする時、バイヤーとして商品を選ぶ時生地感をすごく大切に考えています。デザインの際にはかなり膨大な生地を集めてしまう傾向にあります。特にこういった天竺などはバリエーションが無限大なので一見すると似た感じのものも多いので、生地だけで洗ってみたりずっと引っ張ってみたり、ちょっと焼いてみたり(ライターとかで=特に意味はないけど)とかとか。そういった中で出来上がりのイメージに1番近いと思うものを選び抜いて使っているつもり。そして逆に信頼という意味合いも含めて永続的に同じ素材を使ったりもする。初めて使う生地は当たり前だけど出来上がってから自分でも製品として着用を繰り返してようやく「その後」が分かるからかなり慎重になる。今まで使ってきて信頼がある生地のものはすでに何年も自分自身のテストが繰り返されているから安心。安心だけど新鮮味がない・・・デザインって流動的で刺激的で。そういう全部をひっくるめて楽しんでもらえたり、疑問や不安に思ったことはお気軽にご相談頂ければ可能な限りはすぐにお答えするし、僕自身でも気づいていなかったことは自分で調べてお返事するし。そういう意味でもぜひ僕自身をお気軽に使って貰えたら嬉しいと思っています。
それでは次回の辞書もぜひお楽しみに。