ただの1度も
それはもう20年以上も時間の経つ唄。
その間。
きっともう何十回や何百回なんて回数ではない。
千や万を越える回数自分の耳に届けた唄。
それでも。
たったの1度も。
1度も僕のを裏切ったことはない。
飽きるということも。
今日は気分ではないということも。
たったの1度もそれはない。
僕の頭の記憶から様々な唄が流れ出していき、残りの人生で1曲だけ残せるとしたら迷わずきっとこの唄を選ぶだろう。
出来ればこの動画のように「国境線上の蟻」のアルバムに収録されているライブ(1994 NHKホール)でのオーケストラバージョンが良いな。
神様憶えておいて。
俺はこれがいい。
そうだな。
本であればなにがいいのだろう?
「風の歌を聴け」か、やっぱり「ノルウェイの森」だろうか。
「深い河」も捨てがたいけれど。
あ、「きいろいぞう」もいいな。
でもやっぱり風の歌を聴けかな。
わがままだけどそれならダンス・ダンス・ダンスまで・・・とか。
ベンジーのグレッチは当然特別だし、中村達也のスネアとバスドラは直接胸の奥へ皮膚を完全に透過して届く。なにより俺はベース音が元々好きで、この中での照ちゃんのベースは角がないのにパッキリとしている。
何千回(と適当に言ってみる)目に聴いたさっきも、心の奥にある「なにか」が動くのを感じた。
それがなんなのかは分からない。
ガラの悪い奴らが奏でる美しすぎる音。
ガラの悪い奴らが出来る世界へ向けた唄。
許されるなら自分の命が閉じる前。
最期の唄もこれがいいな。
あと何年この世に居れるか分からないけれど。
最期まできっと俺は変わることはないんだろうな。
きっとそれだけは変わらないんだろうな。
そうそう、この唄に出逢うまで。
ガイコツマークって苦手だったんだったな。
今では体に刻まれた骸骨。
小さな世界だけれど、僕はやっぱり僕の世界を美しくしたいと心から想ってる。
この唄を最後に聴く日まで。