やっと・・・洋服屋らしいブログを

さて・・・やっとのやっと?
だいぶ散文ばかりのブログが続いていたので久々となる洋服屋らしいブログを書こうと思います。
今回は週末のライブにも繋がるお話。
ぜひライブ前に読んでもらえるとより楽しくライブが観れるのではないでしょうか?

僕が自分で作る Thee Old Circus もいよいよ(厳密には久々=昔にもちょくちょく作っていたので)「オリジナルファスナー引手」が登場しました。

ファスナーとは「エレメント」(ムシと呼ばれる歯が噛み合うギザギザ部分)と「引手」ともう1つ割と聞き慣れないかもですが「スライダー」(ムシと引手を繋ぐパーツ)という3つのパーツに分かれて構成されています。

ファスナーメーカーは皆さんご存知世界シェアNo.1!の日本の会社「YKK」
他にもスイス製の「riri」やイタリア製の「ラッカーニ」とかあれこれあります。

・・・ファスナーの解説をしだすとそれだけで膨大なことになってしまうのでとりあえずは割愛しますが、サーカスさん、incarnation、Portaille、Wir Lineal などはすべてYKKのファスナーを採用。中でもYKKの最高品質シリーズの「EXCELLA」を使用しています。(JUVENILE HALL ROLLCALLはまた別のメーカーを使用)

で、各ブランドファスナーの顔である「引手」にはオリジナルを採用していたりします。

この引手を作るには「金型」なる引手の金属を作るための「型」が必要になります。
なにしろこれがなかなかビックリのお値段でオリジナルを作るにはだいぶネックとなったりします。

しかし!これが今日の話の肝ですが。

「そのマインドは ” 細部 ” に宿る」

と、僕は思っています。

デザインとは複数要素の組み合わせの構成となります。デザインとしての絵がありそれがパータン(型紙)と呼ばれる設計図となり、実際に布や革、そしてファスナーやボタンと言った細かい「付属パーツ」が組み合わさって1着(足)のアイテムが出来上がります。

「あぁこの服いいな」

そんな風に思ってもらう中で「ファスナーがカッコいい」とか。
「このボタンの感じが好きです」
もちろん分かりやすく「生地感が好き」
デザインって「全部」なのでこういった「細部」にまでどれだけこだわれるのかというのはとても大切な要素だと僕は思っています。

これはちょっと昔話的な感じですが、僕は店のセレクトもやっているので今は全く新しいブランドを見つけに行くことはないですけど、以前は年間結構な件数のブランドを見せてもらっていた時代がありました。そういったセレクトの中でファスナーを始め「パーツ使い」というのはとても大切なセレクト要素でした。デザイン全体は悪くないしフォルムもいいのだけれどパーツ使いのセンスが合わない(これもあくまで趣向の問題ですから)とどうしてもその部分が気になってしまってお付き合いに至らないなんてこともありました。そういう意味でもやっぱり細部というのは何気ない部分だけれど、その積み上げが全体を構成するのでとても大切に考えています。

バイクが好きですが。
こだわり始めると「ハンドルグリップ」まで選びたい。
・・・みたいな感じでしょうか?
(分かりやすく書いたつもりですが、もっと変態になっていくとバイクの場合はエンジンパーツの1つまでこだわります)

さて、そんな訳で。
まずは Thee Old Circus さん。

こんな感じの「ティアドロップ」(涙)型でオリジナルを作りました。
ストイックで美しい流線型が良いと思った。
また縦横どの方向へ付けても引手が下を向くようにループ(輪)の構成にしています。
基本的にアウトラインがシンプルなウェアのデザインが多いのでそれらを崩さないままに「お?キレイですね」という形を目指しました。

もしかしたら・・・気が付かない人もいるかもですが「裏側にはクロス」を刻んでいます。
ウェアなどのバッククロスのデザインとの親和性も考えてのデザインであり、また僕は個人的にブランドネーム(タグ)を含めてブランド名を記載しない(値札とかも基本はそう)のが昔からの方針なのでブランド名の表記の代わりにこういったマインドを刻むことにしています。

まだもう少し先になりますが、、、

8号専用(ティアドロップ型は5号、8号兼用)としてこのプレートタイプも作りました。
これは裏話で本当はウェアのフロント用にって思っていたのですが「スライダー」との兼ね合いで現段階では日本のYKKの仕様では使用不可となりました。。。(この辺りの話は裏話的にライブでお話する予定です)

金型代を掛けて作ったのに・・・なかなか厳しいことです。。。まぁしゃーない。
ブーツなどのシングル仕様(ウェアなどは上下開きのダブル仕様なので使用不可)の場合には使えるので採用します。

incarnation は非常に評判の良いオリジナルですね。
まさしくこの細部へのこだわりがファンが多い理由の1点を担っていると思います。
スタッフにチラッとだけ聞いたことがありますが、この造形についてもデザイナーの小川さんのマインドがしっかりと詰まっているそうです。(このブログアップ前に聞いておけよ!って話ですが今後ちゃんと聞いておきますね)

レザーウェアはその自重自体もあるのでそれらに対応出来る重厚感と引手の持ち手部分の馴染みも良いのが特徴です。

そして Portaille さんはブランドの名前にも由来した「門」をイメージ。
こちらは金型を使わずにいわゆるジュエリーの作り方をしているこだわり感。実際のジュエリーデザイナーが1点づつ手掛けていると聞いています。
* ポルタユさんはプレーン引手とこちらのオリジナルとをオプションで選べる仕様でオリジナルはさらにカラーの選択も出来るこだわりっぷりです

 

これらのオリジナルを採用しているのはデザインとしての理由がもちろん最大ですが、その他に大きなメリットがあります。それは

「破損時の交換が可能」

各ブランドそれぞれのアイテムはこの世に生まれて何年もfamilyと共に生きます。
その中でどうしても破損していく可能性は否めません。
そんな時これらのオリジナルの引手は ファスナー全体を替えることなく 「引手のみの交換が可能」です。

これって結構大切です。
引手のみの交換の場合は非常にコストが安く済みますのでそういう意味では安心材料にもなるでしょう。(エレメントやスライダーに不具合が生じた場合は全体交換が必要となります)

ここはちょっとマニア的な話ですが最初に話したファスナーの3つの構成の中の「スライダー」と「引手」の仕様によって引手のみの交換が可能となります。

長い時間を付き合うアイテムをより長く愛用してもらうため各ブランドとても考えてモノ作りをしていると思ってもらえたら嬉しいです。

いかがでしょうか?
ライブではさらにちょっと細かい部分まで語れるかと思います。

 

 

ぜひお時間あれば遊びに来てくださいな。

 

で、、、

さらに。少し補足的に。

サーカスさんのボタン。
11.5mmというシャツ用のボタン。
ブランド創設の数年後から採用している「サビ加工」の金属ボタン。
実際のサビをコーティングして包んでいるので服や肌にサビが付着することはありません。

引手を始め「オリジナル」を作る理由は各デザイナーあるかと思いますが、少なくとも僕の考えは「良いのがあればそのまま使う=ないから作る=オリジナル」と言った感じです。

一般に流通しているパーツで「これだ!」というのがあればもちろんそれでいい。無理やりオリジナルにこだわることでアイテムのコストをある意味無駄に上げることはしたくないですから。でも、大抵はそんなものってないのでオリジナルとして作る羽目になるのです・・・

大きさの違う金属ボタン。
これもオリジナルのサビ加工仕様。
ちょっと似たものが流通していた時代があったけど、ちょっとわざとらしかったので結局作った。
そうそう!もう一つオリジナルにこだわる理由としては一般流通品はどうしてもメーカー(ボタンメーカーとかね)の都合で「廃盤」になることもある。そうなった時にブランドのアイデンティティともなりえるこういったパーツが使えなくなることはブランドとしては大ダメージなのでそういう意味もオリジナルには含まれる。

これは流通品だけど、かなりマニアックな感じなので普通はなかなか手に入らない「皮付き本水牛ボタン」水牛ボタンもいろいろとあるけれど、天然(樹脂ではない)の水牛の皮の部分にわざと「スレ」を入れて作られているスペシャル品(もちろん高いけど・・・)
サーカスのシック目のコート類などは時々採用しているパーツですね。

そしてさらにさらに・・・「ほぼ」見えないところでは・・・

こんなところとか。
パンツのウエスト部分にはこんな風にループ紐がついています。

使い方は自由ですが

こんな風に掛けるだけでカッコいいし、洗濯時にウエストを洗濯バサミ(これは革パンだから洗濯しないだろうけど)で止めて乾かすとその跡が残ったりもするのでそういうのを避けるためでもあります。

 

僕は店として「細部へのこだわり」があります。

店のハンガーです。
骸骨(ドクロ)好きというのももちろんありますが、なぜドクロが好きかと言われたらそれは「死」を示すアイコンだと思っているからです。
ただのドクロ好きということよりはマインドとして「死は生に含まれたもの」という自分なりの考え、生き方を表したい(言ったことなかったかも?)と思うからです。

造形としてや骸骨って苦手って方も多いですし別にそれはそれで良い(僕も昔は苦手だったし=今では体にドクロだらけ=入れ墨)ですが僕なりのマインドはこういった店の構成パーツにも宿ります。

さてさて久々の真面目風ブログで長くなりましたがこれでももちろんさわり程度の感じです。
各ブランド本当の意味でのこだわりはどこまでもどこまでも尽きません。
ぜひ目に見える場所だけでなく見えない場所も含めてしっかりご覧頂ければと思いますし、そういったことを少しでも伝えていけたらいいなと思います。

くれぐれも

お時間あればぜひライブへもどうぞです。

 

 

 

 

Posted by:Urano Takahiro ウラノ タカヒロ

Garage EDEN shop Editor.